2012/01/29

ファビアン・バロン時代のハーパース・バザー

 香水のボトルやファッション雑誌のアートディレクション、そしてフォトグラファーとして、その卓越した才能で現在も活躍中のスーパークリエイター、ファビアン・バロン(Fabien Baron)。彼が1992年から編集長のリズが亡くなるまでの1999年まで作り出して来たUS版ハーパース・バザーのアートワークが今見ても素晴らしくて、本棚から捨てられず。。。

売り上げが落ちていたファッション誌をグラフィックデザインによって芸術品にまで仕上げていった彼の力量の素晴らしさったら驚異的。学生の頃はシンプルで強いその作風に見入って、デザインによって良い写真も悪い写真も左右されてしまうんだと言う事を学びました。
終始使われる美しいフォントは彼のオリジナルのもので、横のラインが猛烈に細く、縦のラインとのコントラストを出し、エレガントでかつ当時では斬新なシンプル極まりない手法で無駄をそぎ、読者を虜にしていきました。



































当時は表紙&巻頭に大御所パトリック・デマルシェリエピーター・リンドバーグらを使い、とがったページをデビット・シムズクレイグ・マックディーンマリオ・テスティーノなので味付け。写真が良いのはあたりまえなんですけど、フォントと噛み合うだけでこんなにも素敵な見せ方が出来るもんなんだ〜!と、ファビアン・バロンのセンスの良さを痛感しました。

特に最初のケイト・モスが叫んでるのが『go』とマッチして、今でも買って来て開いたときの衝撃は忘れられません。




2011年9月号のWマガジン、Steven Kleinの写真がヤバい。

2011年9月号のWマガジンに掲載されたスティーブン・クライン(Steven Klein)撮影の『ONE FOR THE AGES』というファッションストーリーがキワモノ過ぎてかなり衝撃。スーパーモデルのアンバー・バレッタ(Amber Valletta)を起用し、20ページ10カット展開の構成で、アンバーがハイブランドを着て豪華で陰湿な部屋でのポージングなんですが、ページをめくるごととに10歳くらいつづ老けていって最後は100歳以上の老婆に変身!特殊メイク、モデルの表現力、スティーブン・クラインの構成力&ライティングともに、ここ最近ではかなりの傑作。


1974 年2月9日生まれのでアンバー・バレッタは、来月38歳という息の長いアラフォーモデルなんですけど、その表現力と言ったら女優をかじっているだけあって、10代のお肌ピチピチモデルには出せない雰囲気や、本人がもともと持っているクラシカルな普遍美などか噛み合って大変美しい。最初のカットはおそらく20代の女性を表現し、着用服はシャネルのジャンプスーツ。チャームポイントの広いおでこをプードルウェーブのウィッグ着用でデカタンス漂う女性に。

ヨーロピアンクラシックなお部屋で一人椅子にもたれてメイクをするアンバーは、やや老けておそらく30代を表現。MIU MIUの2011年秋冬の広告でも使われていたゴールドの鳩が飛びまくるクラシックなドレスを着用。妊娠していながらもオシャレと化粧を怠らないファションアディクトを表現。髪の毛はおそらく地毛を巻いていて、眉毛はしっかりブラックで描き、まるで80年代のマドンナの様な顔にも見える。

彼氏なのかボディーガードなのか設定は良くわかりませんが、スティーブン・クラインお得意の奇妙な男女関係を盛り込みさらにエイジングの進んだアンバーが、まるでシャロン・ストーンの『氷の微笑』モードで睨み顔。衣装はドルチェ&ガッパーなお得意のボディースーツ風のランジェリー。口回り、特殊メイクで垂れ下げているのか本人の表情の演技なのかはわからなけど、40代くらいの女性にみえてくる。

2011年のルックの中でもわりと人気のあったグッチのコーディネートを着用したアンバーは、50歳代になったのか足元が弛み調で倒れ込み介護待ち。40代を演じた時の強さとは打って変わって弱みを見せた女性像。エイジングはかなり深刻になり、しみシワはかなり増え出し外人特有の乾燥感もみなぎる肌の質感。ただ本来はグッチってこういう年代の人が着ると似合うブランドのような気もするので、コーディネート的にはお似合いで、こういうマダムを実際見てみたい気持ち。男子の胸元がはだけているのはスティーブン・クライン本人の趣味だと思われます。



だいぶお年を召して来たアンバーは、二枚目の妊婦写真とほぼ同じヘアースタイルにも関わらず、さらにエイジングをかさね60代な熟女マダムに変化。ジョン・ガリアーノのサテン地と繊細なレースがからみあったミント色のガウン調ドレスに身を包みポージング。目もとがすでに凹み過ぎてヤバいのですが、左手側の酸素ボンベも意味深でファッションと老化の戦いを表現か?と思ってみる。シミシワが先ほどの50歳代よりもなくなっているのは、ファンデを厚塗りにしたのかレーザーを当てて除去したのか?整形をしたかのような目もとの突っ張り感を感じられるのも興味深い。部屋のライトの反射面にメンズモデルを写し込むあたり、さすがスティーブン・クライン。

プラダの60年代をモチーフにしたこんな可愛いシークインコートを70歳代に変身したアンバーが着用しちょこんと座ってビデオにカメラ目線。本当にアンバーはクラシックな巻き髪が似合うモデルなんだけど、お顔がだいぶ老けると凄みというか、妖怪度が上がって凄まじい。整形手術はあきらめたのか、目もとはタルタルに落ちまくり、先ほどの60歳風なアンバーよりはちょっと可愛いお婆ちゃん像に。


『あたくしの顔を見ないでちょうだい!』とばかりに、ヤング男子の目を押さえて哀しげな表情をしているアンバーは、おそらく80歳くらいの設定。エイジングの進行は凄まじく、おでこのブラピジワはマックスになり、アゴの梅干しジワも今までにないテクスチャーで、特殊メイクさん頑張り系。髪型もサッチャー首相系の前髪立ち上がり入れて、スーパーマダム。サルバトーレ・フェラガモの服の上質感はリュクスの極地。


90歳代になったアンバーはピンヒールを頑張って履きつつも、もう姿勢が持ちこたえきれず安定してない感じ。この年齢でトム・フォードの真っ赤なベルベットスーツを着せるあたり、スタイリストの遊び心を感じます。すでにお顔はアンバーではなくなってしまって、目もとなんかはゾンビ映画のようになっています。年とってもメンズは一定の若い子を仕入れるマダムの設定なのか、配置されてるメンズモデルはエイジングは進んでいません。。。


100歳くらいの特殊メイクをされたアンバーは、若い子の頬をさすって昔を思い起こすシーンを演じてるよう。『お金があって最新ファッションに身を包んでても、なんか淋しいのよね〜、人生つまらなかったわ』的な。男子モデルはもはや性別もわからなくなったアンバーの顔が怖くて見る事が出来ずにうつむき調。。。ここにきてまさかのジバンシーの男前ジャケットが、とってもファンキー。特殊メイクはマットな乾いた質感といい素晴らしいのですが、白髪のぱさついた質感も見事!指のシワ感や色むらの表現も、かなり完成度が高いです。

そして最後のページは真っ黒いアレキサンダー・マックイーンのボンテージとも思えるコルセットドレスで死後を考える生物に。後ろの男子が赤ちゃんを抱っこしていますが、孫の下の玄孫なのかというくらい、もうこの世とあの世が混在した不思議なシチュエーション。ファッション雑誌のストーリーなのに、見終わった時には『ファッションって生きてく上で、そんなになくてもいいのかなー?』とさえ思ってしまう脅威の写真でした。

アンバーお疲れさま。

Photographer_Steven Klein
Fashion Editor/Stylist_Edward Enninful
Hair Stylist_Luigi Murenu
Makeup Artist_Lucia Pieroni
Set Designer_Jack Flanagan
Manicurist_Yuna Park
Model_Amber Valletta/Braian Shimansky/Matthew Coatsworth

2012/01/28

2008年9月号のヴァニティー・フェア


三年も前の記事ですが、雑誌ヴァニティー・フェア(Vanity Fair)の2008年9月号のスペシャル企画で、90年代に大活躍していたスーパーモデルが現在にカムバック!と大々的に特集を組んでいて、当時のスーパーモデルマニアの一人としては、黙っていられない特別な企画にうっとり。2008年の時点で全員アラフォーなんですけど、その脅威のボディーとお顔をキープ!さらにはファッションフォトとポートレートのスターカメラマン、マリオ・テスティーノ(Mario Testino)が撮影。

こんな大集合は久々で血糖値が上がりまくりの大噴火。左のアイホールがっつり囲みながらも笑顔の写真も素敵ですが、右のなにげなくお尻出したりしてお転婆している全身カットもこの上なくエレガントでテスティーノっぽい!ナオミなんか、知らんぷりしているけど何も着てないもんね、、、的な。お嬢様なクラウディアが手ブラ&ケツ出しはなかなか頑張ったほうではないでしょうか?衣装のセレクトも写真のトーンも好き。

左から、シンディー・クロフォード(Cindy Crawford)、ステファニー・シーモア(Stephanie Seymour)、クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、リンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)、クリスティー・ターリントン(Christy Turlington)が勢揃いで、もう身震いがとまりません。2008年秋冬のプラダのレースのフォルム違いのコーディネートで皆さんお似合いでございます。(ナオミの顔がなんか変だけど)

ただ良く見てみると、バブリー全盛で大活躍したメンバーなもんで、ついうっかりやり過ぎ感がでてしまってからみ過ぎなのが痛いところ。左写真のステファニーとクラウディアコンビはあまり噛み合ってなく、腰は入れ過ぎるは、腕は回すは、演出が90年代初期のヴェルサーチになっちゃっています。(服を引っぱり過ぎ!)

右のシンディーとクリスティーはどっちもアメリカを代表する美の極地として活躍した2人ですが、シンディーはいつもの男勝りなお顔とポージングで決め決め。クリスティーはついていけずに『こんな感じだったっけ?』と腕を乗せてみたりしてイマイチ感炸裂。シンディーはこの時期に露出が増え出して、自分の加齢が気になったのか、フェイスリフトでお顔をだいぶ引っぱるオペを行って失敗モード。この写真はまだ目もとが突っ張ってなく、おそらく施術前の写真だと思われます。アゴ周りのもたつきが気になるのか、全てのカットで口を開けっ放しにしてたるみをカバーしている様子。。。

まあリンダやステファニーに関しては、メディアに出るたびにボディー含めたフルお直しをするらしいので、鍛えてるぶんだけシンディーはお顔だけですんでいるのが儲けもん。そして若いときから真面目に食事もちゃんとコントロールし、ワークアウトもしているクラウディアは優等生で、40歳超えでも意外と綺麗。クリスティーに関してはヨガのおかげか、さざ波シワはあるものの、オペ無しの状態でフォルムが若い時とほぼ変わってないのが素晴らしく、神が宿っております。

最近の若いモデルの魅力のない事といったら大事件で、ウォーキングからしてなってないし、スターモデルは出ても、スーパーモデルってなかなか出てこないのが哀しいです。90年代スーパーモデルの復活、万歳。


2012/01/27

ゴールデングローブ賞のアンジェリーナ・ジョリー

先日行なわれた第69回ゴールデングローブ賞でのアンジェリーナジョリーがお世辞抜きに美しい。
クラシカルなモードの流れを汲み取りつつ、お決まりの太ももまでのガッツリスリットは譲らずヴェルサーチ。コレクションの写真みててもこのドレスは見つからなかったので、もしかしたらアンジェリーナ用にドナテッラが仕立てた一点ものなのかも(靴はルブタン)。

ニコール・キッドマンは潔く2012年春夏のコレクションラインのゴールドスタッズ付きのホワイトドレスで決めていたけど、アンジーは上半身のハリのある作りに対して、腰からベルサーチお得意のドレープの巻き込み技といい、断然アンジーが来ているドレスのほうが今っぽく、さらりと着こなしているのが凄い。旦那のブラット・ピットは怪我のため杖をついてお爺ちゃんモードだったので、一人でポージングしている方を掲載してみました。

唇、バッグ、襟元のアクセントに同じ質感のレッドを持って来た事も成功の様子。間近でみると唇のグロスがなんとも言えないサテンの輝きを放っていて、質感合わせも完璧で頭が上がりません。蝋人形のようにも見えるくらい、肌とファンデの相性もよく、色むらのない肌に太めのアイライン、アイブロウもしっかりめに描いてクラシック度数上げ系。他の女優を寄せ付けないまでの神々しさで、今回は一人勝ち。

この妖艶さで6人子持ちの36歳!


2012/01/26

DAVID BECKHAM BODYWEAR FOR H&M 2/2日発売

サッカー選手のデビッド・ベッカムが、有名デザイナーコラボでお馴染みのH&Mと手を取り合い、ボディーウェアーシリーズを全国1600店舗のH&Mで2012年2月2日より限定発売。一日一枚カルバンクラインの下着を使い捨てするという伝説を持つベッカムは、以前アルマーニの下着モデルとしても活躍し、何らかのヒントを得ていたようです。今回は本人のオリジナルデザインとあって期待度大なんですが、意外にもベーシックなフォルムや色展開。日本人には嫌厭しがちなブリーフもわんさか登場してて、ボクサータイプが品薄になること間違いなし子ちゃんな気がします。



ベッカムが着ているとかっこよく見えるんだけど、商品だけのブツ撮りのほうはいかにもH&Mらしいフォルム。ももひきのひざ当てパットが個人的には衝撃なデザインで吹き出しましたが、基本的に値段が安いのでパトロールに行く価値はあるかもしれません。価格は1,190円〜2,990円らしいです。


アニー・リーボビッツによるルイヴィトン・コアヴァリューシリーズビジュアル

写真家アニー・リーボビッツAnnie Leibovitzがとらえるルイヴィトンのコアヴァリューシリーズの広告が毎度完成度が高く惚れ惚れ。地球温暖化プロジェクトに賛同した俳優やスポーツ選手、ミュージシャンなどの著名人がぞろぞろ出て来るわけで、キャスティングももちろん素晴らしいのですが、一見ナチュラルに見えるその写真達は、実は猛烈に計算されていて完成度の高さに驚かされます。ルイヴィトンの真髄である『旅』をフィーチャーしたグローバル広告。ライティング、表情、構図、トーンのマッチングが素晴らしく、絵画的でもあり、さすがの底力みなぎるキャンペーンに驚愕です。


  • ゴルバチョフ元大統領 
アニー・リーボビッツお得意の、シャドウ部にシアン(青緑)がかかったトーンで、リムジンに乗ったゴルビーさんを激写。チャームポイントの頭のシミがあまり見えないのが残念ですが、ベルリンの壁をちょっと不安げに見つめる眼差しが哀愁漂ってて素敵調です。


  • キース・リチャーズ
アニー・リーボヴィッツの長年の友人であるキース・リチャーズをキャスティングした、広告と言うよりはポートレートに近い素敵な一枚。メイキング画像を見ると本当にたくさんのポージングをさせられているんだけど、2人のコンビネーションが素晴らしいのか、まったく緊張していない空間作りもさすが、まるで子犬を扱うように撮影するアニーのカメラマンとしての凄みを垣間みました。メイキングだとライトが写り込んでいたのに綺麗に消されていて、あった事さえ感じさせないナチュラルな仕上がりにも感動。これ以上写真を暗めに仕上げると、キースの顔が絶対ゾンビに見えて来そうで、ギリギリで最高の仕上がり。


  • カトリーヌ・ドヌーブ
フランス国宝級大女優のドヌーブ様は、列車の蒸気が渦巻く中、素人だったら逃げまくる状況でもエレガント命でご自分のスネをさすり中。(足がかゆい?)昔からドヌーブ様は毛量が多い人だと思っていましたが、60歳をとうに過ぎているにもかかわらず、しっかりした髪質に尊敬の眼差し。もちろんお顔周り、ウェスト周りは画像修正が入っていると思われますが、その気品たるやそんじょそこいらの女優では出せない貫禄です。映画用のライトが横に置かれているので、何かの映画を撮影している設定なんでしょうか?ヴィトンの高級トランクさえも、ドヌーブの前では椅子同然でケツの下。


  • ショーン・コネリー
往年のハリウッド俳優コネリー様は、初代007でお馴染みの現在81歳の名俳優。スラックスをずぶぬれにされての激写でややお疲れ顔ながらも、綺麗な誰もいないビーチで貫禄ポージング。メイキングではやはりかなりのカットを撮っていたようですが、結局出回った一枚はこの背もたれ付きのショットで、『介護年齢が来てもヴィトンでおしゃれ!』をアピールしててナイス。ご老体に上質なタートルネックってコーディネートもかなり品格を上げているように思います。


  • フランシス・コッポラ&ソフィア・コッポラ親子
コッポラ監督と娘のソフィアのツーショットは、仲つつましい感じがとても良く、でも巨匠であるコッポラ監督が何かを娘に語りかけている様子が普通の親子とは違った演出で知性を感じます。もともとデザイナーのマーク・ジェイコブスと友人関係であるソフィア・コッポラは、良くマークの服を公式の場でも着る事が多いので、このキャスティングはなるべくしてなったと言う感じ。こんなに自然に美しく演出されていますが、メイキング動画では夕日ではなく結構明るめの昼間に撮影をしてて、ライティングをして撮っておいて背景は別のものを合成して入れ替えていると思われます。水色のシャツを着たコッポラ監督のでっぷり感がドラえもんに見えないのは、アニー・リーボビッツの力量って感じです。


  • バズ・オルドリン&ジム・ラヴェル&サリー・ライド
ぱっと見、誰かわからないキャスティングでむしろ興味心身だったのが、このアポロ11号が月に行ってから40年目を記念した伝説の宇宙飛行士をフィーチャーしたプロジェクト。今回、アニー・リーボヴィッツによるロケはカリフォルニアの砂漠で行われ、宇宙飛行士たちはトラックに乗り込み、かつて彼らが旅した星空を見つめて大変ロマンティックな仕上がり。
登場する宇宙飛行士たちは3人。アポロ11号の乗組員で、1969年に人類で2番目に月面を歩いたBuzz Aldrin(バズ・オルドリン)、宇宙での事故に遭いながら、見事地球に生還したアポロ13号を導いた船長Jim Lovell(ジム・ラヴェル)、スペースシャトル・チャレンジャー号で歴史上初めて宇宙に行ったアメリカ人女性のSally Ride(サリー・ライド)。もちろん月や雲の素晴らしい配置は合成によるものだと思いますが、若いモデルには出せない人としての魅力がぎゅぎゅっと詰まった夢の一枚。


  •  アンドレ・アガシ&シュテフィ・グラフ夫婦 
ホテルの一室で撮影されたスターテニスプレイヤー夫婦を激撮したダイナミックな構図の一枚。なかなか普通だとやらない構図配置で人物とカバンを見せていて、これも力量のあるカメラマンでないと上手くまとめる事が出来ない気がします。最初は照れていたアガシも撮影が進むごとにモニターを見る目は真剣になり、撮影をこなしていました。信頼しきって旦那に寄り添うグラフのお顔は、メイクの魔術師ステファン・マレーによるもので、モードの撮影とは違った気品のあるナチュラルメイクで写真との相性も抜群です。カツラを取ったアガシもスキンヘッドですっきり。


  • ミハイル・バリシニコフ&アニー・リーボビッツ 
なんともビックリだったのが、今までこのヴィトンのコアヴァリューシリーズを撮って来た写真家アニー・リーボビッツが、有名バレエダンサー(現在は俳優やら振り付けやらいろいろ)のミハイル・バリシニコフと競演!この頃、アニーは短期貸付専門会社アートキャピタルグループから2400万ドルの借金をしていてその期限が切れるのに返済が出来ておらず、自分の撮って来た有名な、射殺される直前のジョンレノンとオノヨーコの写真をはじめとするすべての著作権や3つの自宅を取られてしまうという自体に。。。おそらく支援協力をしたいヴィトン側が本人を出演&撮影させることで、多くのギャランティーをヴィトン側から受け取った事になったと思われます。作風はコアヴァリューの中では大変地味な仕上がりとなっていて、アニーのスタジオで撮られたこのセルフポートレートは、その淋しささえもかもし出されてて、友人であるミハイルに借金の相談している状況のようにも見えてなりません。。。それにしても男勝りなアニーのポージングはミハイルの存在感さえも上回る勢いです。


  • ディエゴ・マラドーナ&ジネディーヌ・ジダン&ペレ
伝説のサッカー選手三人が楽しそうにテーブルサッカーゲームをしているところを激写な一枚。やんちゃな感じなんだけど、クラシカルなバーでのロケで写真のトーンが彩度低めなせいか、とっても大人で上品な仕上がりになっていて大好き。ジダンのお尻のあたりにさりげなく置いてあるバッグも茶系のトーンとマッチングしててさすがの一言。いつも思うのが、アニー・リーボビッツの写真ってこんなにナチュラルで自然光っぽい空間なのに、しっかりライト当てて撮っているのが心底びっくり。ライティングされた固い感じにならないのはレタッチのせいなのか、中間トーンの出し方がいつも素晴らしいです。


  • アンジェリーナ・ジョリー
もはや女優を超えてスーパー女優となり始めているアンジーがヴィトンに登場。カンボジアで撮影されたこの写真は、本人の私服で本人のヴィトンバッグを使用してのスタイリングで、本人もほぼノーメイクで挑んだ(っていっても目もとは黒で囲んでる気がする)、ポートレートとしても完成度の素晴らしく高い一枚。メイキングでこのシーンは見つからなかったので、もしかしたら背景は別撮りした写真との合成かもしれないですけど、空が反射する水面や植物の乱雑さなどもかみ合ってて、アンジーの表情とともにデラックス。ちなみにこのバックはもう生産中止のものだそうで、そんなバッグを広告に使ってまでもリアリティーを求めるヴィトンに一票。



  • U2ボノ&アリ夫婦 
ミュージシャンと言う枠を超えて、国際的な慈善家としても有名なU2のボノと奥様のアリをキャスティングしてのアフリカでのシューティング。アフリカの極度な貧困地域の人々に多大なる支援をしてきた夫婦であるからこそのロケーションです。撮影は実際歩きながら撮ったりしてセスナ?から降りてきて大地を踏みしめる夫婦を何度と繰り返し撮影。奥様のアリはファッション業界にアフリカでのビジネスの輪を広げるためにエシカル・ファッションのブランド「Edun(イードゥン)」を設立。2009年には、「Edun」のアフリカとの貿易における積極的な取り組みを推進するため、LVMHが49%の株式を取得している。今回はそのEdunの服をお召しになり、Edunとヴィトンのコラボバックを肩から背負っての登場です。


という感じで2007年から定期的にセレブをキャスティングして行われています。これからもアニーの写真でどんな素敵なコラボレーションが見れるか凄く楽しみな見逃せないキャンペーンです。