2012/03/20

2012年Fall 猫も杓子もゆとり設計、スーパービックシルエット!

先日行われた2012年のコレクションのトレンドとして、肩や腕のあたりがやけにデッカいビックシルエットや箱形のシルエットが目立っていました。ここまで大きくする必要があるのか?と疑問を抱くブランドもありましたが、体形を気にせずいろんな世代にアピール出来るという点では、幅広い層に売れるのかも。個人的には女性的フォルムを感じさせない服はあまり好きではないので、こういったラインは苦手なんですけど、、、トレンドって事でまとめてみました。


 ニコラ・ゲスキエール(Nicolas Ghesquiere)のデザインするバレンシアガの今シーズンは、レトロ&フューチャーなテーマはそのままに、グラフィカルにパターンを取った服のオンパレード。全体にハリのある固め素材を使い、腕周りなどに大きさを持たせ今シーズントレンドの代表的存在。色もフューシャピンクのさし色がかなり効いています。


 若干25歳にして人気のブランドバルマン(Balmain)をセンシーズンから引き継いだオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)。若いながらにイケテルデザインを発表し、今までのバルマンファンにも期待を裏切らないクオリティー。今回は基本スリムでタイトな部分はそのままに、アウターのみをビックシルエットにデザインし、今までととちょっと違った新鮮みをプラス。マイケルのスリラーで着てたパッド入りスクエアジャケットなどもデザインに取り入れて、80年代感も現代アレンジ。10年ちょい前くらいのバレンシアガのデザインっぽくもありますが、総評して素敵に仕上がっていると思います。


 フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)がデザインするセリーヌ(Celine)は、デザイナー本人が第三子妊娠中とのことで、コレクションをキャンセルし、プレスとバイヤーのみだけ招待したプレゼンテーションで作品公開。その多くは妊婦さんでもご機嫌で着れるような超ビックなコートで始まり、全てがビック。丈の短いパンツを合わせる事で重くなりすぎないようバランスをとっているようですが、ここまでコートの肩がデカイと、採寸間違えたのかとさえ思ってしまいます。トレンドではあるけど、ちょっと行き過ぎな予感。


誰もが憧れるメガブランドのシャネル(Chanel)でさえも、今シーズンは肩の落ちたビックコートが多く見られ、全体にゆとり設計。肩のあたりが折り紙調の構築的デザインを取り入れたデザインも出ていますが、、、こういうのどうなんだろ、着にくそう。全体的にオバサマにうけるようなデザインのセーターやアウターがいっぱいなので、世界的に売れそうな予感大。靴がオサレ。


 若い世代に圧倒的支持のクロエ(Chloe)もいつもより大きめサイズでコンフォータブリッシュ。素材使いが柔らかめなので、肩のラインや腕周りが大きくても、そんなに威圧感なく着れて、さすがの設計。こういうビックシルエットなら是非取り入れてみたいなと思う。カラーパレットも素敵。


出ましたコムデギャルソン!デザイナーの川久保玲さんがデザインするギャルソンは、たびたび不思議シルエットをだしますが、今回は全てのコレクションの中でもウルトラビックで一位二位を争うデカさ!個人的にはギャルソンの服は、日常服と思っていないのでアートとして見てしまうのですが、そういった意味では大変面白く美術館に飾られそうな勢い。街で着れる勇気のある人、いるんでしょうか?


デザイナーがゴルチエからクリストフ・ルメールになってからのエルメス(Hermes)は地味になったのであまり騒がれませんが、個人的にはルメールのスピリットが感じられて凄く好きなデザイン。ビックシルエットも取り入れているんだけど過剰過ぎずにとても良いバランス。レザーのしなやかさはさすがのエルメスブランドって感じで大変美しいです。


最後となったラフ・シモンズ(Raf Simons)がデザインするジル・サンダー(Jil Sander)のコレクションは、終始ビックなコートが合わせられラグジュアリー。ボタンすらない一枚仕立てのコートは大変美しく、往年ハリウッド女優のようで品格が漂っております。インナーをそこまで大きいデザインにしないことでバランスをとっていて、メリハリ効果絶大。


アルベール・エルバス就任から10周年を迎えた大人気ブランドランバン(Lanvin)は、人気のフリル使いのドレスはやや控えめにして、戦闘能力高めなビックボディコンやらビック襟コートが多発してトレンド満載。二の腕のあたりの布使いを大きくすることで瞬時に今シーズンを代表するシルエットになるのが不思議。大きめだけどちゃんと腰を絞って女性ラインをだしているのが素敵だと思います。


マックイーン亡き後、サラ・バートンが引き継いでデザインをしていますが、今回はファーやフリルなどを駆使したスーパービックシルエットで攻める姿勢を忘れずアレキサンダー・マックイーン(Alexander Mcqueen)を継承。どちらかというとギャルソンと同じく美術館入りなお召し物ですが、個人的には大好きなのでマックイーンは興味津々。スーパーボリュームを膝上でまとめあげる提案はマックイーンのみで、重さと軽さのバランスも優秀。ホコリ取りのハタキにも見えるドレスは、笑いを通り超えて会場を圧倒しております。全員白髪のウィッグを付けているのもシャープでかっこいい!ストレスなのか、サラ・バートンが激太りしていたのが心配モード。


 みんな大好きマーク・ジェイコブスのデザインするルイ・ヴィトンの今シーズンは、ビックでありながらも箱型ではなくAライン調で他のブランドとは一歩先を行くトレンド提案。どちらかというとプラダの方向性に似ているのですが、マークが好んで使う大きめシルエットは、金持ちマダムにも受ける事間違い無し。会場には本物の汽車が設置され、モデルのすぐ後ろに駅員役の男性モデルがカバンを持って歩くのですが、服よりもカバンがとっても素敵でした。


一年前のデザインが猛烈大ヒットを飛ばしてから、ハリウッド女優にも好まれて着られてる事の多いステラ・マッカートニーの今シーズンは、メンズライクな仕立てでコートもセーターも2サイズくらい大きめにデザインしたフォルムを提案。グレーのグラデにビビッドカラーを配したカラーパレットは、曇りがちな秋冬の服にアクセントとなり美しく栄えています。写真3番目のニットワンピのフォルムは新鮮で、オーソドックスな素材をうまく現代的にアレンジしていると思います。



個人的にはたまにやってくるビックシルエットのブームってのが凄く苦手なんだけど、ワンサイズ大きめくらいで取り入れてみても良いかと思いました。あとは軽さを色で入れたり、パンツの丈で取り入れたり、どのようにとりいれるかがポイントのようにも感じます。全部ビックにすると日常的には大変な事態になってしまうので、ワンアイティムで取り入れるのが安心かもです。


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