2012/04/30

1994年からの資生堂クレ・ド・ポー(Cle de Peau)ミューズ、クリスティ・ターリントン(Christy Turlington)の時代を超越した極上美。

いくら最新の服を来て若いモデルちゃん達が着飾ろうが、90年代に活躍したスーパーモデルの魅力は未だ衰えずに、当時のビジュアルをたまに見返すとそのクオリティーの凄まじたるや、時間が止まる勢い。こういうのを90年代の呪縛と言うそうで、20年近く経ってしまっているのにその嬉しい呪縛が解けずに、日々90年代崇拝モードです。

スーパーモデルの中でもクリスティー・ターリントン(Christy Turlington)が死ぬ程好きで、そのきっかけとなったのが1994年からクリスティーがイメージモデルを務めた資生堂クレ・ド・ポー(SHISEIDO cle de peau)のビジュアル。先代のヘザー・スチュワート・ホワイトの時には特になんとも思わなかったのですが、クリスティーになったとたんにオーラ全開!左右対称の完成度の高いパーツ配置を持ち、極上のエレガンスを惜しみなく出しまくるクリスティーと、カラークリエイターに天才メイクアップアーティスト、ステファン・マレー(Stephane Marais)を起用し、空気感を切り取る技は天才的レベルのカメラマン、ピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)が担当という、もの凄いミラクルなスタッフ構成。いったい資生堂側はギャランティでいくら払ったのでしょうか?なんてぶっ飛んでしまうくらい、美し過ぎて永遠の美!当時は何時間見つめてても飽きなくて、いつの間にかクリスティに恋していた気がします。

大学の帰り道、週に一度は資生堂カウンターに座り込み、クレ・ド・ポーのクリスティーのポスターやパンフレットを眺めに行っていました。通常に見る用に一冊と、保存用を二冊、毎回ビジュアルが変わる度に貰っていたのを思い出します。BAのお姉様方、マニアックな美大生にかまってくれてありがとうございました。(八王子そごう店)

写真修正技術などあまり進んでいない時代に、モデルの肌の極上さ、ステファンの神業とも思える繊細かつダイナミックな肌作りとカラーの組み合わせ、リンドバーグの絵画をも超える表情の切り取り方、全てが最高で今も自分の中では、ビューティーアイデンティティーの基盤となっています。

確かこの写真がクリスティー立ち上げの際に、メインビジュアルとして使われていた物だったと思います。クリスティー、24歳ですが、成熟した大人の女性を演じきっていて非の打ち所がない!クリスティーってデフォルトの状態で口角がかなり上がっているので、憂いというか聖母というか、強い表情なんだけど決して突き放す事はなく、安心感を感じられる顔だと思います。
この写真からは多くのビューティーフォトの技も学ぶ事ができて、上からの日差しを切って日陰で撮影する事で、こんなにまでも繊細で階調の豊かな肌のトーンが出せるんだ!と思ったものでした。


クリスティーのアイホールは変幻自在で、時に天使、時に悪魔とシャドウやラインの入れ方で何億通りの女性像を作り出す事が出来ます。今の若いモデルに足りないのはこの変身能力。何にでも成れちゃう素材としての優秀さと、作られたものにたいして脳で消化し、演じられる幅の広さがクリスティーには備わっています。日本のタレントモデルがいくら頑張ってもモードを表現出来ないのは、クリエイター側の作るものを消化出来ずに、自我を出そうとするからだと思われます。そんなことはさておき、この素晴らしくエンジェルフェイスのクリスティーにロマンティックが止まらない!18年前のビジュアルなのに、今見ても惚れ込んでしまう美しい表情です。メイクの淡いグラデ使いとヘアーのアンニュイなディテールが素晴らしい。


大学の平面構成の授業で、好きな写真を一枚選んで明度や彩度を勉強する課題があったのですが、この写真を選んでクリスティーと半年間向かい合いました。ドイツかぶれの教授に『この生活に疲れたような表情のモデルを何で選んだ?』と言われ、『見る目なさ過ぎ!』と心で思い、その先生を信じれなくなるという10代最後の年を送った記憶が蘇ります。
モノトーンはピーター・リンドバーグの得意とする分野なので、ビューティーと言えどもモデルの内面までも映し出しています。この写真はスキンケアラインのビジュアルとして広告になっていました。何かのインタビューで読んだのですが、ステファン・マレーも言うとおり、クリスティーってちょっと目の下にシャドウを入れると、一気にドラマティックになって表情に深みが増します。


この愛らしさと品のコラボレーションは、マリクレール誌面でメイキングが載っていたので、以下に掲載。ステファン・マレーは、アイシャドウが頬に落ちても平気なように、頬には多めのフェイスパウダーの乗せて、暗いアイシャドウの粉が落ちてもフェイスパウダーと一緒に払うという技を使うのですが、当時のメイキングやメイクプロセスなど読みあさり、良く真似っこしました。 リップラインも一度粉を乗せてから、口紅を乗せる事でにじみとクスミを同時除去。渋谷パルコの本屋で遭遇したとき思い切って話しかけたらとっても優しくて良い人でした。



ステファン・マレーを信じきって子猫のようにまとわりついているクリスティーにも萌えですが、同じカメラマンという立場からすると、ストロボも使わずにこんなに豊かな階調でメイクの質感も適度に出してくるあたり、ピーター・リンドバーグの実力の高さに感動でした。二年程でモデルはナジャ・アウアマン(Nadja Auermann)に交代してしまいましたが、クリスティのクレ・ド・ポーを超えるビジュアルは自分のなかではまだ出て来てないと思えるくらい、今でも心から好き!

最高級のビューティ写真であり、最上級のポートレート!!!

2 件のコメント:

  1. はじめてコメントさせて頂きます。

    角田さんの事は、僕が学生の頃から雑誌で拝見していたので、このブログを見つけた時は嬉しかったです。

    クレドポーのビジュアルは、まさに僕のターニングポイント。それまではアートを勉強していましたが、この一連のビジュアルを見て、美容師に転身しました。(笑)

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    1. 匿名さん
      ありがとうございます。クレドポーは(今も綺麗ですが)90年代のは圧巻でしたよね〜。また良かったらブログ見に来て下さい。

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