2013/02/03

2013Fall メンズコレクションレビュー

まだ寒さが続く冬まっただ中ですが、早くも一年後の2013年秋冬メンズコレクションの発表が終わり、次の方向性が見えて来たところ。ロンドン、ミラノ、パリとメガメゾンはクラシックを基調に現代アレンジを入れるところが多く、80年代後半のモンタナ的、ヨージ・ヤマモト的なデザインも多く見受けられました。

素敵だったコレクションを一気に総レビュー!


BALMAIN
 歴史のあるバルマンをデザインするのは若干25歳で引き継いだオリヴィエ・ルステン。今期で二年目を迎えたばかりの彼は、レディーズにも見られる手の込んだオートクチュール並みの素材を使ったり、カマーベルトを主役にしたコーディネイトなど新鮮味も盛り込み、ロック、80年代、男爵スタイルなどを現代風にスマートミックス。前回よりフォーマル度数がアップしていたコレクションで、ビジュアル的に優れている服と実際着れる服のバランスが素晴らしい感じ。



ALEXANDER McQUEEN

サラ・バートンがデザインするアレキサンダー・マックイーンのコレクションは、パリシックなスタイルにエッジを盛り込んだ癖のあるエレガント。マックイーンお得意のテーラードを巧みに使い、肩から胸にかけてのスーツやコートのフォルム作りは見事で、男性のボディに程よく吸い付くようなカッティング。万華鏡のような布地やパッチワーク的なデザインが今期の特徴。





BURBERRY PRORSUM
ちゃんとトレンド盛り込んでいるのに実際着れる服であるのが大好きで、デザイナーのクリストファー・ベイリーから目が離せないバーバリープローサム。今期はヒョウ柄やゼブラ柄の提案だけでも大満足だったのに、さらにはハートマークのセーターやビニールトレンチコートまで登場してしまって超盛りだくさん!シルエットがクラシカルで美しいからだと思いますが、弾けた素材でもやんちゃに見えないのがさすがの腕前。おぼっちゃまスタイルにちょい悪ディテールがたまりません。



D SQUARED2


いつものアメリカンスタイルはさらに洗練され、やや大人モードなディースクエアード。縦長のハットをコーディネートのポイントとし、50年代のアメリカ良家のモダンスタイルとでも言うべきクラシック。アイティム自体はオーソドックスなものが多いように感じましたが、サイジングやカラーコーディネートが冴え渡り、大変フレッシュに見えた購買意欲をかき立てるコレクションでした。



DOLCE&GABBANA



大好きなドルガバのコレクションは、ここ最近の流れそのままに日本で言う下町的なカジュアル感と、着物的なクラシック感で攻めたシチリア濃厚コレクション。一時期打ち出していたボディーフィットしたカッティングは影を潜め、どことなくゆとりのあるざっくりフォルムが特徴的。後半のロマンティック全開のフラワージャケットは、男性をさらにセクシーにそしてチャーミングに見せていました。



DIOR HOMME

クリス・ヴァン・アッシュのデザインするディオール・オムのコレクションは、初期の頃とはずいぶんと変わり、なんだかミニマム押し出しスポーツテイスト路線。レディースのデザインがミニマムの騎士ラフ・シモンズになった事が大きく影響しているのか、ベルトでマークしたウェストはディオールレディースコレクションのオマージュかと思うくらい共通点がありました。映画ガタカからインスピレーションされたという無機質なディテールや、最新の素材使いが特徴的でした。



GIVENCHY

リカルド・テッシがデザインするジバンシーは、オードリー・ヘップバーンが愛用していた時代とは大きくイメージが異なりますが、現在レディースと共にメンズも勢いついている貴重な存在。今期はアメリカンフットボール(ベースボールも?)がテーマだったようで、ボールの縫い目をアレンジしたジャケットや、恒例のアメリカ国旗、ラガーマンをイメージした短パンの提案など、ごっそりとフットボール。パレットはブラック&ホワイト&グレーの無彩色ですが、腰に巻いた服をアクセントにする事で、カジュアルな動きが出て軽さを感じました。シャツの何気ないカッティングが、毎度本当に綺麗。



JIL SANDER

ジル・サンダー本人がカムバックして二シーズン目のメンズコレクションは、前回の殺風景過ぎる服にニュアンスが加わって魅力的に見えて来たコレクション。ミニマリストの危険なところは、削ぎ落とす美学はわかるんですけど、あまりにも何もなさ過ぎて単調に見え、それを凄い金額出して買おうとは思えなくなるという危うさを伴っている点。今回は小技が要所に配置され、そして長く着れそうなベーッシック感も備えていい感じでした。



GUCCI

グッチはレディースコレクションとリンクするような、カラーパレットを分けた服の見せ方でショーを展開。猛烈に美しいくすんだ水色シリーズの服で悩殺され、その後に続くコーディネートもたまらない完成度の高さ。グッチお得意のミリタリーと、モッズ的なニュアンスがうまくミックスされ、お金さえあさば何着でも欲しいとさえ思わせるデザインで、男性を何倍にも見栄えを良くしてくれる素敵なルックが勢揃い。



MARC JACOBS

高級素材をいかにカジュアルにデザインするか?的なコンセプトでデザインをしているマーク・ジェイコブスのメンズでは、ロカビリー調な50年代の雰囲気を醸し出していました。毎度かなりベーシックなデザインで構成されているのですが、今期はやや振り幅が広くなったようで、カラーバリエも多く感じました。ミニマムデザイナーとは違った脱力系デザインなので、シルエットとかカッティングがどうのこうの言うよりは、『マーク・ジェイコブスを着ているという満足感』を味わいたい人用のブランドという感じ。



JOHN GALLIANO

ガリアーノ本人がデザインしていないジョン.ガリアーノのコレクションは、80年代後半のパリジャン風のビッグタートルネックや、布をふんだんに使った全体に大きいシルエットの服の提案。80年代のクロード・モンタナやゴルチエ、テュエリー・ミュグレーのような雰囲気に、現代っぽい小物を合わせる事で2013年版の解釈。



LOUIS VUITTON

ルイ・ヴィトンのメンズコレクションは、なんと言っても素材の上質さが写真を通しても感じ取れるくらいに際立っていました。スポーティーなデザインながらも遊びの要素を盛り込むあたりもビッグメゾンのゆとりを感じるところで、バーバリーでも登場したヒョウ柄アイティムをはじめ、ブータンの民族模様やハイキングテイストも盛り込んだ様子。最後のややグロテスクな花や動物のシルク刺繍は、ガウンやタキシードにデザインされ、インパクト大でした。



PRADA

誰もが知っているプラダのメンズラインでは、テディボーイをラフにデザインしたボックス的デザインが並びました。プラダにしてはカラーバリエーションが多く、ブルーや朱赤は目の覚めるような深みと鮮やかさ。そしてほとんどのコーディネートには、シャツの片方の襟をダラリと出すスタイリングで外しを入れていました。シャツ、パンツ、アウターの絶妙なカラーブロックのセンスが素晴らしく、蛍光色と深みのある色とのバランスは簡単には真似っこ出来ない超越したセンスを感じました。



MUGLER

90年代のスペクタクルショーと言えばのテュエリー・ミュグレーでしたが、現在はレディー・ガガのスタイリストであるニコラ・フォルミケッティがデザインを担当し、ウルトラクール&スタイリッシュ、そして近未来!SF映画の軍曹司令官的なスーツや、蛍光色をポイントにしたガンダム的ユニフォームに目が釘付け。テクスチャーの光沢や、ボディーフィットなカッティングは本家テュエリー・ミュグレーを継承し、遊びも盛り盛りなのでファッション雑誌では大人気のルックになりそうな予感。



SAINT LAURENT PARIS

カリスマデザイナーのエディ・スリマンがサンローランに戻って来て初めてのメンズコレクション。彼の大好きな極細少年体形のモデルを多用し、グランジの雰囲気さえ漂わせたロックテイストバリバリ攻撃。なんか変化球がなくて想像してたイメージ通りだったので、これといった驚きがなくやや残念で、サンローランというよりはエディ・スリマンのブランドっていう感じに見えました。個人的にはイヴ・サンローランから『イヴ』を捨ててしまうなんてあり得ない事しでかしたんだから(怒)、もっと期待を大きく超える服を見てみたかったと正直思ってしまいました。



VERSACE

亡くなったジャンニ・ベルサーチが乗り移ってデザインしたかのような、現役時代さながらの80年代カムバックデザインを発表したデザイナーのドナテッラ・ベルサーチ。ラッパーさんやバブリー世代がこよなく愛して止まないベルサーチ柄もお目見えし、裸にファーコートコーデの裏切らない今期ベルサーチ。時代がミニマムになろうが、売れない時代だろうが、ここまで突き通してもらえればむしろさすが!とさえ思ってしまいます。アンダーウェアの販売もスタートしたことも影響しているのか、何コーディネートかはシースルーのレース下着着用でモデルが登場するという大胆さもベルサーチならではと言った感じでした。



VALENTINO
マリア・グラツィア・キウリとピエール・パオロ・ピッチョーリの二人が手がけるバレンティノのメンズコレクションは、60年代のロンドンにインスピレーションされた大変美しくクオリティの高いものでした。レディースの評価が回数重ねるごとに上がっていくヴァレンティノですが、ここにきてメンズも一気に爆発の予感。レディースに見られる繊細でクチュールなテクニックはメンズでも見受けられ、さらには力強さまで供えて素晴らしい。見慣れたタータンチェックもデザイン1つでモダンにアレンジされいたのが画期的でした。




ずらっとレビュー書いてみましたが、2013年秋冬の一押しはバーバリー・プローサムとルイ・ヴィトン!自分がアラフォーなのもかなり影響していると思いますが、基本ベーシックなフォルムで上質素材、さらには長年着れるものを求めてしまう傾向にあり。。。

バーバリーの右上のカーキのコートが一番欲しい。



2 件のコメント:

  1. メンズノンノでファンだった一人です。

    個人的に今回はジルのジルサンダーが意外に良かったです。
    ラフシモンズっぽいところもあったりして何かいいです。
    サンローランは全く同感ですね。
    これであればエディのブランドで良かったような気が・・・。
    サンローランに拘った理由を今後見れるか楽しみですが。。。

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    1. seiyutoさん
      コメントありがとうございました。メンノン見ていた世代というと年齢がバレますね(笑)
      サンローランはある程度の気品と重を感じられる憧れのブランドであってほしいと思っています。

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